多粒子系のシミュレーション
目的
コード
github/tkono17/labpp/PSystemにPythonのコードがある。
git clone https://github.com/tkono17/labpp.git
ファイル |
内容 |
python/dss.py |
粒子系のシミュレーション(粒子と境界、時間発展) |
python/dsgui.py |
結果を表示するためのGUI | |
scripts/runds1.py |
粒子系を設定して実行するためのプログラム |
シミュレーションの設定と拡張
python/dss.pyの中のSystemConfigクラスに、設定できるパラメータがある。ここで、生成する粒子の種類や個数等を設定できる。 現状では円形の自由粒子が、弾性衝突をするという状況しか計算していない。(workdirのなかでemacs labpp/PSystem/scripts/runds1.pyのなかで粒子の種類、個数みれる)
粒子にはたらく力や複雑な境界を定義したければPSystemクラスを拡張する必要がある。
ソフトウェアの導入方法
作業用のディレクトリを作る。以下では、このディレクトリを<WORKDIR>と呼ぶことにする。 実際には、自分が好きなディレクトリ名を決めて以下の<WORKDIR>の部分はその名前で置き換えること。
cd <WORKDIR> git clone https://github.com/tkono17/labpp.git mkdir build sw cat > setup.sh <<EOF export SWDIR=<WORKDIR>/sw export PATH=${SWDIR}/bin:${PATH} export LD_LIBRARY_PATH=${SWDIR}/lib:${LD_LIBRARY_PATH} export PYTHONPATH=${SWDIR}/python:${PYTHONPATH} EOF cd build cmake ../labpp/PSystem make install
これをやった後には、<WORKDIR>の下にsw, build, labpp, setup.shといったディレクトリやファイルができているはずである。
新しくターミナルをシェルを立ち上げて作業を開始前に以下を実行する。
cd <WORKDIR> source ./setup.sh
このソフトウェアはpythonなのでコンパイルは不要であるが、必要なファイルを<WORKDIR>/swの下にインストールするために
cd <WORKDIR>/build make install
を実行する。これでプログラムを走らせる環境が整う。
一度ログアウトした後で再度ログインした場合には、いつものように環境設定のために以下を実行する。
cd <WORKDIR> source setup.sh
プログラムを実行するには
source setup.sh cd <WORKDIR>/run runds1.py
を実行する。すると、以下のようなウィンドウが新しく立ち上がるはずである。
Initialize -> Start -> Stop -> Quitが一連の流れになる。
ボタン |
内容 |
Initialize |
初期状態の生成 |
Start |
系の時間発展 |
Stop |
時間発展の停止 |
Quit |
プログラムの終了 |
データファイルの解析
シミュレーションを実行するとjson形式のデータファイルが生成される。Jsonファイルはデータを木構造で表現したもので、階層的なデータ構造を表現するのに便利である。ファイルの中のデータにアクセルするには、例えばPythonでは以下のようにする。
python3 import json f = open('dss.json', 'r') data = json.load(f) data['events'][2]['balls'][1]['momentum']
上のコードでは、(1)jsonライブラリのインポート、(2)dss.jsonという名前のファイルを開く、(3)ファイル内のjsonデータを読み込んでdataに代入、(4)時刻[2]のときのボール[1]の運動量というデータにアクセスする、ということをやっている。
このデータを使って、より詳細なデータ解析をするためには、Json形式(木構造)によるデータ構造、その中の特定のデータにアクセスする方法に慣れる必要がある。
課題
シミュレーションを実行するとdss.jsonというファイルが生成される。これは各時刻における粒子の位置、運動量を記録したものである。 この出力結果を元に解析をする。何を調べるかはこれから考える。
- 各時刻で系の全エネルギーを計算して、その時間発展を調べる。(エネルギー保存も調べる)
- 弾性衝突のみなら、エネルギーは保存するはずである。保存しない場合は数値的な不安定性がある可能性がる。
- 他にも系を特徴づける量を考えて、その量を計算して時間発展を調べる。
- 個々の粒子のエネルギー、運動量、密度等。ボルツマン分布に従うようになるか。
- 質量の異なる2種類の粒子を入れるとどうなるか、系に存在する粒子の個数を変えるとどうなるか。
さらにシミュレーションの内容を発展させるためには、系の運動法則を変えてみる。
- 重力場中でシミュレーションをさせる。
- 最後は全部下に集まって停止する?
- 壁で反射する度に、エネルギーを増減させる(熱浴との接触)。
- 下から熱して、上で冷ますと対流のような現象が起きるか。
- 粒子間にポテンシャルを導入する。1/r^2型、Lennard-Jonnes型ポテンシャル等。ポテンシャルの到達距離または密度を変えてみる。
- いわゆる分子動力学のようなもの。気体っぽい性質や液体っぽい性質が現れるか。