場の量子論ゼミ 2015
目標
素粒子物理の現象論を理解するのに必要な場の理論の知識を習得することを目的とする。 扱う内容を大雑把に列挙すると次のようになる。
- 場を自由度とする系に量子力学を適用する(場の量子化)
- 場に対する正準交換関係から調和振動子が出て来て、粒子状態(Fock空間)を定義できる
- 粒子状態間の遷移として反応を記述できる
- 具体的な計算は摂動論に従って行え、摂動の各項を図形(Feynmann図)に対応させられる
- 自然界の3つの相互作用を記述するLagrangianの形はゲージ不変性という対称性によって決まる
- 摂動の高次の項が発散するため、展開の仕方を工夫してみる
- 繰り込みの処方、物理量のスケール依存性
進め方
毎回トピックを決めて担当者がそれについて調べてきたことを他の参加者に説明する。 (前期)木曜日午後: 13:30~ (後期)火曜日午後: 13:30~
参考文献
- 九後汰一郎、ゲージ場の量子論1,2
- 素粒子物理学の基礎1,2
- ザイマン、現代量子論の基礎
Itzykson & Zuber, Quantum Field Theory
Peskin & Schroeder, An Introduction to Quantum Field Theory
復習
解析力学 |
齋藤 |
Lagrangian, Hamiltonianによる運動方程式の定式化。ネターの定理 |
4/16 |
特殊相対論 |
杉林 |
ローレンツ変換。Newton力学がローレンツ不変でないこと、Maxwell方程式がローレンツ不変であること。4元ベクトルによる記述 |
4/23, 4/30 |
量子力学 |
田所 |
調和振動子。交換関係の代数のみから固有値、固有状態を導出。真空状態、状態の解釈 |
5/14, 5/21 |
場の量子論
Dirac方程式 |
齋藤 |
Dirac方程式の導出、γ行列、Dirac方程式のスピノル解と解釈 |
5/28, 6/4 |
Lorentz群と場、場の量子化 |
河野 |
Lorentz共変性、Lorentz群の表現と場 |
6/4 |
スカラー場の量子化 |
杉林 |
複素スカラー場の量子化、生成・消滅演算子、真空状態、N積 |
6/18, 6/25 |
Dirac場の量子化 |
田所 |
反交換関係、Dirac場の量子化、反粒子、電荷数、生成・消滅演算子 |
7/2 |
電磁場の量子化 |
齋藤 |
電磁場のLagrangian、ゲージ対称性、ゲージ固定条件、量子化 |
7/9 |
S行列と摂動論 |
杉林 |
漸近状態、S行列、相互作用表示、T積、Wickの定理 |
7/16 |
QEDのLagrangianとFeynmann則 |
田所 |
ゲージ不変性、QEDのLagrangian、Feynmann則 |
7/23 |
遷移振幅と断面積 |
河野 |
Lorentz不変な位相空間、粒子状態の規格化、遷移振幅、散乱断面積 |
7/30 |
コンプトン散乱の断面積の計算 |
齋藤 |
計算 |
10/13 |
Feynmann則の複数 |
杉林 |
n点グリーン関数、Wickの定理、様々なプロパゲータの計算 |
10/27 |
その他の予定
高次補正の発散と繰り込み |
杉林 |
摂動の高次の寄与が発散すること |
10/20 |
正則化と物理量の繰り込み |
田所 |
考え方の説明、相殺項、計算 |
10/27 |
物理量のスケール依存性 |
齋藤 |
繰り込み群、beta関数 |
11/3 |
非可換ゲージ理論 |
杉林 |
ゲージ理論、Lagrangianの導出、Feynmann則 |
11/10 |