= 場の量子論ゼミ 2016 = == 目標 == 素粒子物理の現象論を理解するのに必要な場の理論の知識を習得することを目的とする。 素粒子実験を行う上で、具体的な計算を自分で行うことはほとんど無いが、 測定結果を解釈する上で、Feynmann図、繰り込みの考え方等は理解しておく必要がある。 次のことを理解することを目標とする。 * 場を自由度とする系に解析力学・量子力学を適用すると、場に対応して粒子状態が導かれる * 散乱過程は状態間の遷移として量子力学に則って記述できる * 素粒子の相互作用はラグランジアンに相互作用項を導入することで得られる * 摂動展開とFeynmann図の対応 * 摂動の高次項の振る舞いと物理量の繰り込み == 進め方 == 毎回トピックを決めて担当者がそれについて調べてきたことを他の参加者に説明する。 式変形が複雑になる計算が多いけど、それに惑わされず論理的な展開や考え方を明らかにすること。 (後期)火曜日午前: 10:30~ === 参考文献 === * 九後汰一郎、ゲージ場の量子論1,2 * Peskin & Schroeder, An Introduction to Quantum Field Theory * 素粒子物理学の基礎1,2 * ザイマン、現代量子論の基礎 * Itzykson & Zuber, Quantum Field Theory == 復習 == || 解析力学 || 藤本 || Lagrangian, Hamiltonianによる運動方程式の定式化。最小作用の原理。ネターの定理 || 10/11, 10/18 || || 特殊相対論 || 金子 || 相対性原理。ローレンツ変換。ローレンツ不変性。4元ベクトルによる記述 || 10/18, 10/25 || || 量子力学 || || 調和振動子。交換関係の代数のみから固有値、固有状態を導出。真空状態、状態の解釈 || 11/8 || == 場の量子論 == ||Dirac方程式 || || Dirac方程式の導出、γ行列、Dirac方程式のスピノル解と解釈 || || ||スカラー場の量子化|| || 複素スカラー場の量子化、生成・消滅演算子、真空状態、N積 || || ||Dirac場の量子化 || || 反交換関係、Dirac場の量子化、反粒子、電荷数、生成・消滅演算子 || || ||電磁場の量子化 || || 電磁場のLagrangian、ゲージ対称性、ゲージ固定条件、量子化 || || ||S行列と摂動論 || || 漸近状態、S行列、相互作用表示、T積、Wickの定理 || || ||QEDのLagrangianとFeynmann則 || || ゲージ不変性、QEDのLagrangian、Feynmann則 || || ||遷移振幅と断面積 || || Lorentz不変な位相空間、粒子状態の規格化、遷移振幅、散乱断面積 || || ||コンプトン散乱の断面積の計算 || || 計算 || || ||Feynmann則の複数 || || n点グリーン関数、Wickの定理、様々なプロパゲータの計算 || || その他の予定 ||高次補正の発散と繰り込み || || 摂動の高次の寄与が発散すること || || ||正則化と物理量の繰り込み || || 考え方の説明、相殺項、計算 || || ||物理量のスケール依存性 || || 繰り込み群、beta関数 || || ||非可換ゲージ理論 || || ゲージ理論、Lagrangianの導出、Feynmann則 || || ||Lorentz群と場、場の量子化 || || Lorentz共変性、Lorentz群の表現と場 || || == まとめ ==