Linuxの使い方(初心者)
はじめに
WindowsやMacでは、アプリケーションのウィンドウを開いてグラフィカルに操作することがほとんどである。 Linuxでもグラフィカルなアプリケーションは多数存在して同じような使い方も可能だが、研究や仕事に使う場合、 Linuxのメリットは操作内容をコマンドとしてテキストで与えて実行する環境が充実していることである。 これによって、複数のコマンドを予めファイルに記述しておいて実行したり、プログラムの出力を別のプログラムに入力として 与えたりといった使い方ができ、作業の効率化や自動化が容易である。
グラフィカルな操作では、ファイルやフォルダ(ディレクトリとも呼ぶ)の構造やアプリケーションの起動や終了を 初心者でも直感的に理解できるようになっている。 一方、コマンドラインによるコンピュータの操作に慣れるには、コマンドを入力する画面(ターミナル)以外には何も見えないため、 ファイルやディレクトリの構造やコンピュータを操作するための多くのコマンドを予め知っている必要がある。
しかし、コンピュータの基本的な仕組み(ディレクトリ階層、プログラムを起動・停止など)を理解しておけば、グラフィカルな表示による補助がなくても WindowsやMacと同じようにコンピュータを使って様々なことをできるし、マウスによる操作よりも圧倒的に効率的な使い方が可能である。
目標:
- ターミナルがどのようなプログラムか分かる
- ディレクトリ階層を理解している。ルート・ディレクトリ、作業ディレクトリ、相対パス、絶対パス、特殊なパス(.., ~)を理解している
- エディタを起動して、テキストファイルを編集・保存できる
- 環境変数を理解している。特にPATH, LD_LIBRARY_PATH。プログラムの在りかを探せる
ターミナルとコマンドライン入力
- 用語と概念: ターミナル、コマンドプロンプト、コマンドライン引数、標準出力
- コマンド:ls, pwd, echo, cat, exit
ファイルとディレクトリ階層
- 用語と概念: ディレクトリ階層、ルートディレクトリ、ホームディレクトリ、作業ディレクトリ、上位ディレクトリ
- コマンド:ls, pwd, cd, mkdir, mv, rm,
特殊パス |
内容 |
/ |
ルート・ディレクトリ |
. |
作業ディレクトリ |
.. |
作業ディレクトリの一つ上のディレクトリ |
~ |
ユーザーのホームディレクトリ |
演習問題
- 自分のホームディレクトリに移動する
- 自分のホームディレクトリの絶対パスを調べる
- 自分のホームディレクトリの一つ上のディレクトリにどのようなファイル・ディレクトリがあるか調べる
- 自分のホームページの直下にあるディレクトリの中身を調べる
- 自分のホームページの直下にある最新のファイルの更新日時を調べる
- ルートディレクトリの直下にどのようなファイルやディレクトリがあるか調べる
- /bin, /usr/binにどのようなファイルがあるか調べる
エディタとテキスト・ファイルの閲覧・編集
- 用語と概念: テキスト・エディタ
- コマンド(プログラム): cat, emacs, vi, less
演習問題
- ホームディレクトリにhello.txtという名前のファイルを作り、その中にGood bye!という一行を書いて保存する。
- hello.txtの内容をターミナルに出力させて、ちゃんと保存できたか確認する
ファイルの種類と権限
- 用語と概念: ユーザーとグループ、ファイルの属性
- コマンド: lsのオプション、chmod, chown
プログラムとジョブ
- 用語と概念: ジョブ、プロセス、フォアグラウンド、バックグラウンド、待機状態
- コマンド: ps, top, kill, Ctrl-Z, fg, bg
シェルと環境設定
- 用語と概念: シェル・スクリプト(bash, zsh)、環境変数、シェル変数、.bashrc、.zshrc
- コマンド: setenv, printenv, export